ECパッケージの業界最大手のecbeingの評判と考察

ECパッケージの最大手のecbeing社は1500以上の導入事例がありクライアントにも一流企業が多いです。上場もしている事から、クライアントとしては、信頼感もあり、仕事を依頼しやすいECパッケージの会社です。最近のビーングさんのニュースなんか見たら、流通総額6,000億円を超えた!っていってましたから結構堅調に伸びてるんでしょうね。

ecbeing社の前身はPCの販売代理店で小売りを行っていました。ecbeing社は当時、クライアントからの依頼でECサイトをやって欲しいという要望を受けてecbeingが自社でECを開発し運用をはじめたのが、現在のECパッケージ会社としての由来です。

ECの評判も徐々に良くなっていき、そのうちに事業化しパッケージ製品名をecbeingとしました。

それではecbeing社とは実際にどのような会社なのでしょうか?本日はEC業界で10年の経験がある筆者がecbeingについて業界関係者の立場から解説していきます!が趣味で書いてるブログなので、間違っていたらごめんなさい!

ecbeing社の流通総額6000億円ってすげー!

2022年1月にこんなニュースをみました。

ecbeingの年間流通総額が6000億円突破!初公開、国内ECサイト構築業者No.1の流通額に〜ショッピングモールを含めても楽天、Amazonに迫る勢い〜

この6000億円超えってのは、すごくて下記のような感じです。

1位:Amazon 4兆7069億円
2位:楽天市場 4兆4510億円
3位:Yahoo!ショッピング 1兆4180億円
4位:ヤフオク! 8303億円
4位:メルカリ 7121億円
5位:ビーング 6392億円 <==ここ
6位:ZOZOTOWN 3955億円
7位:ec-cube 2940億円
8位:MakeShop 2342億円
9位:カラーミーショップ 1936億円
10位:ラクマ 1725億円

流通総額、ZOZOTOWNを超えてるとは、、さすが大手用の最大手のパッケージ会社です。(余談だけど、GMOグループのMekeShopとカラーミーショップもスゲー普及しているんですね)

ここからわかることは、1500社導入といっても、その多くが大手企業だから、流通総額がここまで大きくなるのではないでしょうか?

ecbeing社の戦略とは?

ECサイト導入・構築からお客様のECのマーケティング機能を支援していく戦略をとっています。中長期的にECクライアントのマーケティングを強化を行い、お客様と一緒に成長していく戦略です。

コンサルティングには特に力を入れており、有名ではないECサイトのコンサル会社よりは、よほど信用できます。(本格的なコンサル会社には負けますが、それでも結構がんばっている印象です)

また、従来のecbeingのターゲット企業よりも小さめの案件も獲得するべくなのか、あるいはライバルのebisumart対策なのか、メルカートというクラウドECの新しいSaaSのサービスも提供をはじめております。

ecbeing社の運営体制は?

協力会社を含め700名以上という規模は業界ナンバーワンです。その内訳の一部は下記の通りです。

・開発部隊 500名以上
・マーケティング支援部隊 200名以上

そして直販の営業部隊はecbeing社が競合他社の中で一番優秀です。その背景には、もともと営業会社であったため、顧客第一主義という文化があるためです。

ecbeing社の強みとは?

①信頼感

大手のクライアントを中心とした圧倒的な事例の豊富さです。すでに1500社の導入実績があり、これからECを検討している大手クライアントは企業内での稟議を通しやすいでしょう。また、上場企業のグループ会社であり、この点も大手企業からすれば仕事を発注しやすいと思います。

②しっかりした営業体制

ecbeing社はこの業界では珍しくシステム会社出身ではなく営業会社出身です。従ってお客様目線の考え方が会社のポリシーとして浸透しています。

③システムトラブルが少ない

受注した案件が大きなトラブルになっているといった話はあまり聞いたことがありません。開発したものが比較的しっかりしているのでしょう。

④保守体制

保守体制は開発に携わった担当SEが、そのまま保守を担当してくれるという体制をとっていますから「話がわかる」担当ですので、障害があった時も対応がスムーズです。

しかし、この点は弱みにもなり、SEの数は限られているため一人のSEが案件を持つ数には限度があります。

全ての案件に注力できるわけではないので、担当の手厚いサポートが受けられるのは、優良顧客の上位30%程度ではないでしょうか?

ecbeing社の弱みとは?

①カスタマイズや追加改修費用が高い

「WEBの見せ方を少し変える」、「外部と連携をする」等の改修要件はすぐ「数百万円」のコストがかかります。またタグを入れる程度の微修正も「数十万円」の高額費用がかかります。

しかし、ecbeingというパッケージを導入した以上、お金を払うしか方法はありません。その理由は次のポイントの「ソースコートの開示」にも関わってきます。

②システムのソースコードを開示していない。

ecbeingでのソースコード開示はライセンスを買い取れば可能であるとの事ですが、そのようなケースは聞いたことがないですし、おそらく相当高額なはずです。ecbeingというソフトウェアの開発言語は「.net」だからベースはWindowsです。

Windowsだからセキュリティー上、更新数は多いですから保守費用はかさみます。ecbeing社のビジネスモデル自体が保守で稼ぐモデルになっているからです。

③ECシステムが古くなる。

ecbeing社だけではないのですが、パッケージ製品なので導入後システムが古くなっていく事が避けられない点です。そしてecbeing社は保守・カスタマイズ費用がべらぼうに高く、ちょっとした改修でも100万円の単位で改修費用が度々発生します。

そのためシステムが古くなるという弱みは、ecbeingの場合だとコストがかさんで大変な事になります。

予算の少ない会社がecbeingを入れたため、改修はしたいがお金がなく身動きがとれなくなるケースを度々聞いたことがあります。ただそれも予算が大きい会社なら、さほど問題にならないでしょう。

また、メルカートという“システムが陳腐化しない”新しいラインナップも開発しましたが、この点については後程解説します。

④ecbeingで標準対応の決済会社は「GMOPG」「DGFT(旧ベリトランス)」「ペイジェント」の3社。

2017年時点の情報だと、ecbeingで対応している決済会社は「GMOPG」と「DGFT(旧ベリトランス)」と「ペイジェント」の3社です。

「標準対応ではない決済会社」「標準対応の決済会社でも標準機能となっていない決済手段」等の、その他の決済を採用しようとすると数百万円規模のカスタマイズが発生します。

ただ、GMOPGもDGFTも、大手向きの決済代行会社の老舗です。ペイジェントは、3社中では一番若い会社ですが、SIerとして最大手のNTTデータと、こちらもクレジットカード会社では大手の三菱UFJニコスが共同出資している会社なので、技術的にも経営基盤的にも盤石な会社です。

この3社であれば、大手企業は安心ですが、逆に「うちはソフトバンクペイメントと長い付き合いだから変えたくない」という場合は、カスタマイズが必要となるか、ビーング導入をあきらめるしかありませんね。

ライバルのebisumartを意識したクラウドECの「メルカート」を2017年にリリース

昨今は、ebisumartも導入サイトを急激に増やしており、ecbeing社の最大のライバルとなっております。ebisumartはカスタマイズできるクラウドECという訴求で、「陳腐化しないシステム」を売りにしています。

ebisumartさんのホームページはこちらより

そういった背景からなのか、ecbeingもebisumartと同じくカスタマイズできるクラウドECをリリースしました。それがクラウドの「メルカートです」

私の聞いた話ですが、大規模なカスタマイズやシステム連携などの要件に対しては、従来のパッケージ商品を売り、それよりも規模感が小さい範囲のカスタマイズであれば、メルカートを販売しているようです。

★ecbeingの戦略をザックリ

大規模EC ==> パッケージ
そこそこの規模のEC ==> メルカート

ecbeingもクラウドECに力を入れ始めたのはビックリですが、クラウドECという選択肢がこれで、市場に浸透するのではないでしょうか?

しかも、このカスタマイズできるクラウドEC市場ですが、最近では「コマース21」さんも参入し、「ECo2(エコツー)」というものを2021年4月にリリースしました。さらに規模感は小さくなりますが、ec-cubeも「ec-cube.co」というクラウドECに参入が続いています。

ただ、メルカートにしても、ECo2にしてもクラウドの最新性を保ちながら、パッケージのようなカスタマイズできるものを作るのは技術力と体力が必要になります。大丈夫なんですかね?

エビスマートさんは、パッケージではなくカスタマイズできるクラウドEC専業でやっているので、開発リソースを100%ぶっこめるのですが、どうなんでしょうかね?

ただ、最新のソフトクリエイトホールディングス(ECビーングの親会社)の決算資料みたら、メルカートの新規も結構順調に導入は言っているみたいです。ecbeingさんには中小企業からの問い合わせも多いでしょうから、ecbeingのパッケージは高くて無理だけど、メルカートなら入る!というお客さんに刺さってるかもしれませんね。

ecbeingの子会社「ReviCo(レビコ)」

ビーングの子会社に、レビコという会社があります。この会社は、EC運営には欠かせない「商品レビュー」を集めるプラットフォームの会社です。

ECビーングは、自社ECパッケージの強みを活かした、子会社も持っているようですね、ECビーングを使うお客さんは大手企業ばかりですからECサイトを構築するだけでなく、どのように売上を伸ばすかも求められるので、そのあたりの知見があるので、このような子会社も作ったのでしょう。

通常、商品購入者に自動送信メールを送付するだけでは、なかなかレビューを集めることはできませんが、レビコを導入すると、プレゼント特典をつけることで、レビュー率を増やしつつ、良質なレビューを集めることです。また、そのレビューを分析することもできるプラットフォームのようです。

ECの売上と直結しますし、大手ECサイトであれば絶対に欲しい機能と言えますが、気になるのは、2023年10月より施行されたステマ規制をどのようにクリアしているのかという点です。レビコの事例の大手アパレル会社をみたのですが、「このレビューは弊社からのレビュー依頼によって書かれたものです」という文言が必要になるのですが、パッと見かいていないような気もします。※筆者の見落としかもしれません。

でも、このような素晴らしいレビュープラットフォームを外部で作るのなら、ECビーングのシステムにレビコを標準対応させても良かったのでは?と思ってしまいますが、その辺はどうなんでしょうか?

ecbeingがおすすめな会社はどんな会社?

予算が多い大手

どの業種・業態でも対応できますが、後のカスタマイズを考えれば予算を持っている大手企業が相性が良いでしょう。

また、年商が1億円を超える中規模の事業者であっても、最近ではメルカートというラインナップもあるので、対応可能だと思います。

また、ECサイトの構築だけでなく、構築し終わったあとにマーケティングのサポートを受けたい場合も、構築と一緒にできるので、ビーングはすごく良いと思いますよ。

稟議を通すのが厳しい会社には向いている

広告やベンダー企業で新しい会社と取引するためには、特に大手企業ですと、稟議を通すのが難しい会社もあると思います(この辺は企業というより、上司や経営幹部に依存するかも)

現場を知らない上司や経営幹部に新規事業者との稟議書が来た時に「こんな会社聞いたことないぞ!」と稟議を跳ねのけられることもあるでしょう。

そんなときはecbeingは業界で名が知れてますし、親会社は上場企業なので、稟議が通りやすいはずです。

ただし、ebisumartも2020年に上場したので、ecbeingだけが上場企業グループということではなくなりましたが、でもビーングの信頼感は業界でもピカイチですよね。

ECサイト構築からマーケティングまで一気通貫でお付き合いしたい企業

ecbeingはやはり安定感があります。そして、ecbeingのコンサルもなかなか熱心だと筆者は聞きました。本格的なECコンサルの会社におとるものの、コンサル自体はしっかりやっており、ECサイト構築から一気通貫でEC運営を託したい大手企業はおすすめになるでしょう。

ecbeingがおすすめでない会社はどんな会社?

頒布会のECサイト

頒布会を行う会社にはおすすめできません。頒布会をecbeingで行うケースはカスタマイズが必要になってきます。タマゴカートのようなASPでできる頒布会要件も、ecbeingでは1000万円はかかります。

定期販売のECサイト

今までやってこなかった事から定期販売のノウハウが欠けています。事例ゼロというわけではありませんが他のアパレルなどの業種事例と比べると圧倒的に弱いです。

予算が少なめの会社

改修費用が高額なため追加改修の予算がとれない会社が将来何もできなくなります。

独自の機能をECでやりたい会社

その会社の独自な機能などオリジナルな事をやりたいという方はカスタマイズの費用が高くなってきます。自社で追加開発をしたい会社には向いていません。

ecbeing社のオムニチャネルはどうなの?

最近のecbeing社の事例ですが、あるアパレルのブランドのオムニチャネル事例がアパレル業界のベンチマークになっていますが、かなり要件が複雑で大変だったようです。

現在では、ノウハウもたまりOMOなどのアプリを使った、ソリューションも提供しており、実店舗とデータ連携を行ったアプリ施策を考える場合は、検討しても良いと思います。

実際に、アイテム数やトラフィックも多いであろう「ワークマン」や「ベイシア」といった大手での成功実績も増えてきているようですよ。

んで、最近気が付いたのですが、OMOって検索するとビーングの記事が最初に出てきます。会社をあげてOMOを盛り上げている印象をうけましたね!

ecbeing社のPOS連携

ecbeingは自社ではなく東芝テック社と連携しています。ecbeingの特徴は自社のECサービスは良いが、パートナーとはあまり上手くやれていないようです。

その理由は会長や会社の方針にあります。会長の目線はお客様に向いています。パートナーからすると「それは難しいのでは?」といった要件も「パートナーができないなら自分達でやるよ」という気概がベースにあるからだと筆者は考えます。

ecbeing社の雰囲気は?

体育会系ですがさっぱりしている印象です。一度辞めた社員がecbeing社に出戻りするケースが多いようです。ビジネスライクで結果を出せば評価されます。数字市場主義の会社です。ですから給料は悪くありません。ただし同族系企業なので、社長の意向はかなり強いです。

顧客至上主義なので、営業としてキャリアを積むにはいい会社ではないかと筆者は考えます。

また、エンジニアにとっては、ECの開発ノウハウを経験でき、ましてバグが少ないシステムですから、良い経験が詰めます。しかし、扱っている言語が筆者の知る限り「.net」という古いプログラム言語だったはずなのでpythonのような最新のプログラム限度ではないことを念頭にいれておきましょう。

(とはいっても、この業界で使われている言語は、JAVAとかが多いので、ビーングだけが古いというわけではないですがね)

ただ、10年近く運営しているシステムであれば、古いプログラム言語であるのは、どのシステムも同じことなので、ecbeingに限った話ではありません。

最後に

本日はECプラットフォーム最大手のecbeing社を紹介いたしました。基本的に顧客目線の会社であり、営業もサポートもしっかりしております。かかるコストが高いですがそれは品質の裏返しで、しっかりしたシステムを構築してくれるでしょう。

ただし、予算が少なめの会社は他のECプラットフォームを検討してみたほうが良いでしょう。

ecbeingさんのホームページでもご確認くださいね!

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