インターネットでECに関する事を検索すると、EC-Orange(ECオレンジ)のサイトをよく見かけると思います。EC-Orangeはオープンソースのec-cubeをベースに作られた、ECのパーケージです。
EC-Orangeの運営会社は株式会社エスキュービズムという会社です。2006年に開業しています。エスキュービズムは社長がリクルート出身で、大学創業後リクルート1年半で起業した経緯があります。ECの事業専門という事ではなく、車の輸出や農業家電販売、就職活動支援、WEBコンサルティング、店舗開発など幅広い事業を展開している会社です。
エスキュービズムはゼロから物を作るというよりは、既存のビジネスモデル・サービスに付加価値をつけて、展開する事を得意としている会社です。
そういう意味でも既存オープンソースのec-cubeに付加価値を追加し、カスタマイズしたものがEC-OrangeというECパッケージとなっており、エスキュービズムを代表する商品なのです。そしてエスキュービズムはec-cubeのTOPベンダーでプラチナパートナーでもありましたが、今は不明です。というのもec-cubeのページに出てこないのです。ひょっとしたら解約したのかもしれませんね。
それでは、EC-Orangeとはどのようなパッケージで、エスキュービズムとはどのような会社なのでしょうか?
本日はEC業界で10年の経験がある筆者が解説しますが、個人の趣味でやっているブログなので間違っていたらごめんなさい!
エスキュービズムがECをはじめた由来は?
約10年前、当時のEC構築とは”フルスクラッチ”、”パッケージ”、”ASP”の3つしかなく、パッケージが高額な時代だったために、中小企業がECを立ち上げるのに適したサービスがありませんでした。
そこでエスキュービズムはec-cubeに目をつけました。当時はec-cubeが「日本発のオープンソース」として出始めた頃で、ec-cubeを利用すれば、安価にECサービスを展開して収益を得ることができると考えたのです。
その戦略は見事に当たり、世のオープンソースのec-cubeの盛り上がりとともに、EC-Orangeのエスキュービズムも成長していったのです。
しかし、こうした背景があるにも関わらず、最近はec-cubeをベースとしている訴求やプロモーションがEC-Orangeのホームページでは一切なされていません。
私の推論ですが、昨今オープンソースの問題点が世間で騒がれており、ついに経済産業省からもec-cubeの古いのやべーぞ!ってお達しがでるほどになりました。
株式会社イーシーキューブが提供するサイト構築パッケージ「EC-CUBE」の脆弱性等について(注意喚起)
プロモーション上オープンソースを強調するメリットが無くなったと考えている為、2014年あたりからホームページでec-cubeという文言を使っていないようです。
そして2021年に、ホームページを見ると「独自のソースコード」という文言が目立つようになり、どうやらec-cubeから自社のオリジナルECシステムに作りかえたようなことを書いております。
ただ、本当に独自なのか、ec-cubeベースなのかは定かではありまえせん。
EC-Orangeの強みは?
オムニチャネルの提案を行う場合、通常ECベンダーがPOSベンダーと組んで提案となるパターンが多い中で、エスキュービズムには「EC-Orange POS」という自社のPOSソリューションがあり、EC-Orangeと一緒にオムニチャネルの提案を1社で完結する事が出来ます。
「EC-Orange POS」は、これまでのPOSベンダーでは提供出来ていない顧客目線を持ったタブレットPOSサービスとして評価されており、導入社数を確実に伸ばしているサービスです。
そして、最大の強みはPOSのソリューションとECをからめた総合的な提案のプレゼンがうまいのです。そういったところはシステム屋でもPOS屋でもないからできるプレゼン力と言えます。
また、自社のプロモーションがとても上手いです。早くからコンテンツマーケティングを仕掛けていたため、EC業界のあらゆるキーワードで検索すると、その上位ほとんどがEC-Orangeのサイトになっていました。
(ただ2023年の現在は競合のエビスマートさんや、ビーングさん、Si Web Shoppingさん、MakeShopさんもコンテンツマーケティングがんばってて、あまり目立たなくなってきました。)
こういったところも、もともとがシステム屋ではない文化を感じさせます。
またベースの部分では、ソースコードが開示されているので、開発ベンダーの制約を受けることなく、大規模な開発・運用や改修を行うことができるのは、オープンソースの強みですよね。
直近のニュースでは、NFTパッケージソフトウェア「stoNeFree」と連携が実現し、これによってNFT化したデジタル商材を扱うサイトの構築が可能となりました。NFTのような次世代技術への対応は今後の大きな強みになる可能性は大いにあると思います。
「EC-ORANGE」がNFTパッケージ「stoNeFree」と連携。未来のコマース体験を提供するためにストーンシステムとのパートナーシップを強化
EC-Orangeの弱みは?
EC関係者の間では有名な話ですが、仕事を受注しまくって開発が回らずに顧客とトラブルを頻繁に起こした事がありました。
この間、当時の社員も結構辞めたようで業界関係者からは、一時「もうやばいんじゃね?」とささやかれましたが、先ほど説明した「EC-Orange POS」で見事に復活しました。(当時はこれで(´▽`) ホッとしたものです)
エスキュービズムはシステムメーカーではなく、サービス提供会社であるため、本格的なシステム的素養と開発力が求められる場合の対応力が課題なのではないでしょうか。
もし、まだベースとしてec-cubeを使っているなら、ec-cube自体の脆弱性や、その他問題点についても内包しており、利用する場合はこのあたりをよく理解しておく必要があると思います。
ちなみにec-cubeの脆弱性は以前こちらの記事に取り上げました。
エスキュービズムの会社の雰囲気は?
あまりわかりませんが、筆者が現役だったころ外から見たイメージですが「人の入れ替わりが割とある」「組織がころころかわる」などよくわからない事が多いです。
人の定着率が悪いのかもしれませんね。そのせいか余談ですが引継ぎ案件などトラブルが多かった印象です。
EC-Orangeがおすすめな会社は?
下記の2点のいずれかに該当する会社はEC-Orangeがおすすめです!
・POSとECを使ってオムニチャネルをやろうとしている。
・ec-cubeでサイトを構築したい
やはり、タブレットPOSを使って、オムニチャネルを実践したいという企業には強い印象です。
EC-Orangeがおすすめではない会社は?
・オープンソースのリスクを許容できない会社
・システム開発力を求める会社
オープンソースのリスクは以前、こちらの記事でまとめました。ただ、先ほども申した通り、すでにオープンソースをつかっていないのかもしれませんが、そのあたりはわかりません。
パートナー戦略は?
パートナー戦略は電通からの出資を受けていることもあり、電通グループと共同で提案する事が多い様です。
最後に
EC-Orangeがオープンソースの問題点をはらんでいますが、逆にオープンソースを望む会社や、あるいはPOSとからめたEC案件にはEC-Orangeが向いているでしょう。EC-Orangeでしたら総合的なPOSの提案をしてくれます。
またEC-Orangeだけではないのですが、ec-cubeをしょっている会社は裏を返すと技術力がないのでec-cubeをしょっているともいえますので、そういった背景を踏まえておくとよいでしょう。
ただ、今はec-cubeをやめて独自開発にしたのかもしれませんが、そればかりは私にもわかりません。
詳しくはEC-Orangeのホームページをご覧ください。
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