企業でECサイトを担当している友人達から、よくこのような質問をされます。
「ECサイトの売上を伸ばしたいのだけど、何か良い方法はないか?」
売上を伸ばす方法としては、WEB広告の活用や、SEOの話はよくあると思いますが、まず必要なのは「売上の分析」です。この分析ができていないと、課題や強化のポイントがわからないからです。
そして、短期間で売上を確実の伸ばす方法は「カート周りの改善」になります。
本日は、アパレルECのフラッグシップの「ZOZOTOWN」を例に、劇的に売上を伸ばす方法を、EC業界で10年の経験のある筆者が解説しますが、趣味でやっているブログなので、間違っていたらごめんなさい!
売上アップを考える前に売上の分析は出来ていますか?
まず、ECの売上をアップするには、売上の要素を分解して、どこに課題があるのかを把握します。
売上の要素とは?
売上は下記の式から成り立ちます。
売上 = ①購入者数 × ②顧客1人あたりの売上
ですから、「①購入者数」が減っていたとしても、「②顧客一人あたりの売上」が伸びていれば、「売上」が伸びることもあります。
逆に、「①購入者数」が増えていても、「②顧客1人あたりの売上」が減っていれば、「売上」が下がるのです。
これを把握せずに売上の推移だけ見ても、何が原因で売上が上がり下がりしているのかがわかりません。
では、次に、さらにその要素を分解します。「①購入者数」についてです。
「①購入者数」の要素とは?
さらに、購入者数の要素を分解してみましょう。
◆購入者数の要素
①購入者数 = 新規顧客 + (既存顧客 × リピート率)
購入者数をとっても、「新規顧客」と「既存顧客」に分かれます。ここまで分解すると、売上のどこが悪いのかが明らかになってきます。
例えば、売上のほとんどが「新規顧客」で、「既存顧客」からの売上や、「リピート率」が悪ければ、新規顧客施策ではなく、リピート施策に注力するべきです。
「②顧客一人あたりの売上」の要素とは?
「②顧客一人あたりの売上」の要素を分解してみましょう。
◆顧客一人あたりの売上の要素
(1)平均単価
(2)平均購入点数
(3)平均購入回数
これら3つの要素はグラフにして、週次・月次で把握しなくてはなりません。単に
EC担当者「顧客一人当たりの売上が減っている!」
といった時でも、この(1)~(3)をグラフ化しておけば、瞬時にどこに問題があるか把握できるからです。
EC担当者「がんばっているのだけど、ECの売上が伸びないんだよ~」
と言う前に、売上の要素を分解して、どこに課題があるのか、把握しておくことが第一歩です。残念ですが、上記のようなことを言うEC担当者は、現状を把握できていないことがほとんどです。
では、現状分析を踏まえて、売上をアップする具体的な手法を解説していきます。
売上を短期間で劇的アップする改善策は「カート周りの改善」
EC業界には共通する、短期間で売上アップを行う手法があります。それは「カート周りの改善」です。
ECサイトのCVRが1%~5%だとすると、ECサイトを訪問する人の95%以上は離脱ユーザーです。
ですから、注文・購入直前の離脱ユーザーを減らせば、売上は確実にアップします。そこで、最も即効性のある施策が「カート周り」の改修なのです。では、どのような改善を行えば良いのでしょうか?
予算があれば、実績のあるECコンサルタントを呼んで、カート周りの改善を依頼するのが一番ですが、予算がない場合でも、大丈夫です。「ZOZOTOWN」などのEC業界を代表する企業のカート周りを参考にすればよいのです。
ZOZOTOWNを参考にカート周りの改善例①(サイズを選ぶプルダウンや、オプションボタンがない)
まず、下記画像の二つのカート周りの画像を比べてみましょう。ZOZOTOWNと某アパレルECの画像比較です。比較すれば、ZOZOTOWNの離脱を極力避ける工夫がわかります。
画像引用先:ZOZOTOWN
◆ZOZOTOWNのカート
◆某アパレルのカート
カート周りを工夫せずに、ECサイトを作ると、下の画像の「某アパレルのカート」ようなデザインのように「カートに入れる」ボタンを押す前に、ユーザーがサイズを選択するアクションが入ります。これが通常のアパレルECサイトです。
しかし、ZOZOTOWNは、ユーザーのアクションをできるだけ少なく、カートにスムーズに入れる工夫がされていることがわかります。
わずかな違いですが、こういった工夫により、CVRに影響し、01%でも向上すれば、売上に大きな差が出てきます。
ZOZOTOWNを参考にカート周りの改善例②(カートに入れる前から、届け日や支払いの不安の払しょく)
下記の図をご覧ください。ZOZOTOWNのカート周りの特徴は、カートに入れる前から「お届け日」や「支払い」の不安をなるべく払拭していることです。
通常、お届け日や支払い日(ツケ払いについて)の情報は、カートに入れた後に表示されるべき情報ですが、ZOZOTOWNの場合は、カートインさせる前に、ユーザーへの潜在的不安の解消に努めているのです。
ZOZOTOWNはユーザーの心的不安を、カートインさせる前に払拭させる努力をしているのです。
ZOZOTOWNを参考にカート周りの改善例③(様々な支払方法がカートイン後に一目でわかる工夫)
下記はZOZOTOWNのカートイン後の画面ですが、一目で、全支払い方法が、画面遷移や、マウススクロールせずにわかります。
もちろん、ユーザーの大部分を占めるスマートフォンも同様にレスポンシブで対応されています。
一見すると、「当たり前ではないか?」と思われる改修ばかりですが、世の中の多くのECサイトが施策できていません。
その理由は2つあります。
1つはEC担当者のスキルや経験不足です。外部広告の効果や、売れ筋商品の推移に追われるあまり、このような地味な改革をする発想がなかったり、忙しすぎて手がまわらない点。
2つ目は、ECプラットフォームです。ZOZOTOWNがこのような改革が可能なのは、自社内製のフルスクラッチのシステムだからです。これがカスタマイズ不可能のASPや、費用が都度かかる外部の開発会社だと、改善に着手できないのです。
ですから、ZOZOTOWNのように自社内製のフルスクラッチというのは、ほとんどのEC事業者には難しいと思いますが、ASPを使っているのなら、フルカスタマイズできるクラウドECやパッケージを導入して、カート周りの改善を検討してみましょう。(ASPよりシステムの費用は高くなります。年商1億円あたりが、ASP卒業の目途になります)
優れたマーケーティング手法とは、独創的なアイデアではなく、ユーザー目線に考慮した地道な改革にあります。ZOZOTOWNのような業界のフラッグシップのECサイトには、優れたCMOやEC担当者がいるため、ユーザー調査や経験により、カート周りの改善ノウハウがあります。
EC業界を第業する企業のカート周りを研究すれば、必ずあなたのECサイトにも転用可能な手法があるはずです。
ASPでもできるカート周りの改善は「ID決済」の導入
ASPではカスタマイズ不可能と言い切ってしまいましたが、ASPによってはカート周りの改善が可能です。それはID決済の導入です。
◆2つのID決済
①Amaozn Pay
②楽天ID決済
ID決済とは、Amazonや楽天のIDでログインし、そのまま決済ができる仕組みです。今やECサイトで購入するユーザーにAmazonと楽天のIDを持っていないユーザーなどほどんどいませんから、この仕組みを導入すれば、間違いなくCVRを向上させ、売上アップに結び付きます。
当然、両サービスとも導入初期費用や、手数料がかかります。まずは自社で使っているASPがID決済に対応しているかどうか確認しましょう。
カート周りの改善をしても、効果が出にくいケースもある
売上を劇的にあげる方法として、カート周りの改善を例として挙げましたが、例外もあります。月間購入件数が少ないBtoBや、そもそも新規流入が上手くいっていないECサイトです。
カート周りをいくら改善しても、そもそもECサイトにやってくるユーザーが月間1万ユーザーにも満たない場合は、まず流入数を増やす施策を打たなくてはなりません。
予算がある場合は、リスティング広告を検討し、予算がない場合は、コンテンツマーケティングを実施し、中長期的にユーザーを増やす対策が必要です。
コンテンツマーケティングを実施したい場合は、バズ部のブログは全ての情報が開示されているので、そちらを参考にしてください。※このブログが、多くのEC関係者に読まれているのも、バズ部の情報を参考にしたからです。詳しくは下記リンクをご覧ください。
コンテンツマーケティングの解説:バズ部のサイト
顧客の囲い込みなどできない!接触回数を増やすことが大切!
友人「リピーターを増やして売上を伸ばしたいだが、良い方法ある?」
という質問も、売上の件と同様によく受ける質問です。しかし、商品やサービスが確かであれば、放っておいてもリピーターは増えます。
そもそもユーザーとは、一人ひとりがあらゆる情報を集めて、あらゆる影響を受けて生活している人間ですから、水が上から下に流れるように、もっと良い商品や、さらに心地よいサービスにユーザーが集まります。
あなたのECサイトより、良い商品、心地よいサービスが他にあれば、ためらいもなく、ユーザーは他サイトに乗り換えるでしょう。ですから、休眠顧客になったユーザーの掘り起こしは意味がありませんし、ユーザーの囲い込みなど、できないのです。
こういった状況を考えると、ユーザーを囲い込むという発想を捨てて、ユーザーとあなたの会社の接触回数を増やすことに注力するべきです。
例えば、発送した商品には、手書きのお礼文と一緒にSNSアカウントのQRコードの紙を添えます。
もし、あなたのサイトが、和牛のECサイトなら、facebookアカウントで、いろんな肉を美味しそうな写真で、産地や製法を日々投稿すれば、ユーザーの日常生活に自然に溶け込んで、facebookでおいしい肉とともに、あなたのECサイトをアピールすることができます。Instagramも同様です。
メールマガジンよりも、SNSへ誘導する仕組みを作り、ユーザーの日常生活の中で接触頻度を高めるの施策がリピーター施策としては、最善です。なぜなら、これらの手法は、ユーザーが嫌がるPUSH型広告ではなく、ユーザーの日常生活に、あなたの会社の製品の露出が溶け込んでいるからです。
もし、SNSアカウントを持っていない場合は、facebook、Twitter、Instagramの3つの中から2つは構えておくべきです。すぐに会員数を増やしたい場合は、facebook広告で少しの予算を使えば、フォロワーを集めることは可能です。
自社ECサイトの主流はゲスト購入
囲い込みの話の延長にありますが、ECサイトのほとんどは、会員登録を前提に考えています。たぶんあなたのECサイトも、カートインの際は「会員登録」がメインの導線になっているはずです。
楽天やAmazon、ZOZOTOWN、無印良品くらい大規模事業者であれば、会員登録のハードルは低いでしょうが、無名の会社のECサイトには、誰しも会員登録をしたがりません。多くのユーザー心理は下記のようなものになるはずです。
ユーザー「登録したらメールマガジンとかうざいな。。」
ユーザー「一度購入するだけなのに、こんな知らないサイトに登録したくない」
こういった面からも、ユーザーの囲い込みという考え方は時代遅れです。とはいえ、ユーザーには、ロイヤリティーの高いユーザーがおり、このユーザーは売上に貢献してくれるユーザーですから、会員登録を無くすのではなく、ゲスト購入の導線を太く考えるべきです。
先ほども申した通り、ゲスト購入ユーザーとのCRM活動は、facebookなどのSNSに登録したくなる仕組みを作る方が良いでしょう。
ECサイトの売上をアップするには!ECシステムのカスタマイズが必要になる
ECサイトを売上をアップする手法は、WEB広告やSEOの話になりがちです。しかし、最も即効性のある手法として、ECサイトのカート周りの改善や、SNSの活用の側面から、売上をアップさせる方法を解説いたしました。
しかし、カート周りを改善したり、ゲスト購入の導線を太くするなど、いずれもECシステムのカスタマイズが必要になる分野です。ですからECのシステム選定は、売上とも密接に関係しています。
筆者がおススメするのは、クラウドECを扱っている、ecbeing(イーシービーング)社とebisumart(えびすマート)社の2つです。年商1億円以上の中・大規模のECパッケージ業者です。なぜならシステムが陳腐化しないので、中長期的にシステム費用が少なく済むからです。
ASPで、売上をさらにアップさせることを考えている場合は、カスタマイズが必要になりますから、両社に相談して、コンペさせましょう。
このように、ECの売上は、中・大規模のECサイトになると、密接に関係してくることがおわかりいただけたと思います。
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